← コラム一覧

DDoS攻撃とは|増幅型の仕組みと、可用性を守る備え方

DoS と DDoS の違い、リフレクション/増幅型がなぜ効いてしまうのか、送信元検証や上流での遮断といった対策を整理。自組織が踏み台にされる側の視点と、情報処理安全確保支援士試験での問われ方まで解説します。

情報セキュリティの三要素のうち、DDoS が狙うのは可用性です。情報を盗むのでも書き換えるのでもなく、使えなくすることが目的になります。機密性や完全性の対策——暗号化や署名——をどれだけ厚くしても、この種の攻撃は止まりません。守り方の系統が違う、というところから押さえます。

DoS と DDoS の違い

DoS は一箇所からサービスを妨害するもの、DDoS は多数の機器から同時に仕掛けるものです。分散していることの厄介さは、送信元で切り分けられない点にあります。一つの IP アドレスからの大量アクセスなら遮断すれば済みますが、世界中の何万という機器から少しずつ来ると、正規の利用者との区別がつきません。しかもその機器の多くは、乗っ取られた側であって攻撃者本人ではありません。

踏み台にされる機器として、近年よく挙がるのが IoT 機器です。初期のパスワードのまま使われている、更新の仕組みが無い、管理画面が外から見えている——こうした状態の機器が大量に存在するため、まとめて乗っ取られてボットネットを形成します。「自組織の機器が加害側に回る」という視点は、設問でも問われます。

増幅型 — 少ない通信量で大きな攻撃を作る

リフレクション攻撃(反射型)は、送信元アドレスを標的のものに詐称して第三者のサーバへ要求を送り、その応答が標的へ届くようにするものです。ここに、要求より応答がずっと大きくなるプロトコルを組み合わせると、攻撃者が出した何倍もの通信が標的へ集まります。これが増幅型です。

踏み台にされやすいものなぜ効くか塞ぎ方
オープンリゾルバ(DNS)要求が小さく応答が大きい再帰問い合わせを内部に限定
NTP サーバ状態一覧の応答が大きい不要な問い合わせ機能を無効にする
memcached など外部公開が前提でないそもそも外部から到達させない
SNMP応答が大きくなりうる公開しない、コミュニティ名を既定のままにしない

どれも共通するのは、UDP を使っていて、送信元の確認をせずに応答してしまう点です。TCP なら最初のやり取りで相手の存在を確かめるため、送信元の詐称はしにくくなります。この違いが問われます。

送信元の詐称を通さない

増幅型が成立する大前提は、送信元アドレスを偽った通信が経路上を通ってしまうことです。そこで、自組織から出ていく通信について、自組織に割り当てられていないアドレスを送信元にしたものは外へ出さない、という設定を入れます(送信元検証)。これは自組織が被害を受けないための対策ではなく、他所への加害に使われないための対策です。

# 出ていく方向のフィルタ(考え方)
# 自組織のアドレス範囲を送信元とするものだけを許可する
egress allow source 203.0.113.0/24
egress deny  source any

受ける側の備え

回線が飽和してしまうと、自組織の機器で何をしても手遅れです。届く前に落とす必要があるため、上流の事業者や CDN、DDoS 対策サービスの側で吸収する構成が採られます。加えて、平常時の通信量を測っておくこと、急な増加を検知できるようにしておくこと、そして「攻撃を受けたときに誰へ連絡してどう切り替えるか」を決めておくことが備えになります。技術だけでなく、手順として整えるところまでが対策です。

通信量だけが問題ではない

回線を埋めるものばかりではありません。アプリケーションの重い処理を狙う形もあります。検索や集計のように一回の要求で負荷が大きい機能を、正規の手順で繰り返し呼ばれると、通信量としては目立たないままサーバが応答できなくなります。通信量のしきい値だけを見ていると気づけないため、処理時間や同時実行数の側からも監視します。

接続を確立したまま、ごく少しずつしかデータを送らずに保持し続ける形もあります。同時に扱える接続の数には上限があるので、それを埋められると新しい利用者が繋げなくなります。対策としては、接続ごとの待ち時間の上限を設ける、同一の送信元からの同時接続数を制限する、といった設定が効きます。守り方が通信量への対策とは違う、という点が問われます。

情報処理安全確保支援士 試験での問われ方

午前Ⅱでは、リフレクション/増幅型の仕組み、オープンリゾルバの意味、送信元検証の目的が問われます。「自組織を守る対策」と「他所への加害を防ぐ対策」を取り違えさせる選択肢が定番です。午後では、通信量のグラフやログを示して「何が起きているか」「上流に何を依頼するか」を書かせる形が出ます。可用性の設問では、技術的な遮断だけでなく、連絡と切り替えの手順まで答えに含めると観点を満たせます。

IPA 公式 PDF:令和5年度 秋期 午前Ⅱ問題 ↗本文はこの公式 PDF でご覧ください(アプリ内には転載していません)。

確認しておきたいこと

演習(支援士日誌)で手を動かす →